「かすうどん」と聞いて東京の人は何をイメージするでしょうか?
うどんはわかりますが、「かすって?」となると思います。
そもそも食べ物に「かす」をつけるなんて、とてもおいしそうに感じられなくても仕方ありません。
自分も実際に食べるまでは知りませんでしたし、名前を聞いただけでは食欲が湧かなくても仕方ないでしょう。
ところが、大阪に来て以降、そんなかすうどんにすっかりハマっているのです。
かすうどんとは何かを説明する前に、まずかすうどんの「かす」が何かを知っておきましょう。
これは油かすの「かす」です。
東京で油かすというと天かすが連想されますが、大阪では牛肉のホルモンを低温でカリカリに脂分が抜けるまで揚げたもののことを指します。
ホルモンを加熱して油脂を取り出したら、残るのは油を取った残り滓(のこりかす)です。
そんなことから油かすと呼ばれるようになり、いつしか「かす」と言ったら大阪ではこの食材として通じるようになりました。
しかし、大阪でもかすが有名になったのはそれほど昔のことではありません。
もともとは南河内の郷土料理として使われていたようでしたが、大阪全域では1995年ごろからよく目にするようになったと言います。
かすうどんとは、そんな油かすをつかったうどんなのです。
ホルモンをさらに油で揚げたら、油っこくてくどいのではないか?と思ってしまいそうですが、実はそんなことはないのです。
カリカリになるまで低温でじっくり揚げているので、余計な油は抜けてしまっています。
それでいて、中身はホルモンのプルプル感が残っているため、外はカリカリ、中はプルプルという独特の食感が生まれるのです。
どんな料理にも合う食材として大阪では大人気ですが、単においしいだけでなく美容にもいいと評判です。
余計な油が抜けて低脂肪ですし、かつ、高たんぱくでコラーゲンも多いということで大阪では好きな女性がたくさんいます。
自分もかすうどんを食べて、この独特の食感を知って以降やみつきになってしまっています。
うどんだけでなく何にでも合うので、油かすだけ買ってきて家で一人鍋するときにも投入するぐらいです。
また、週に1回以上は外でかすうどんを食べています。
同じかすうどんといっても、店ごとに味付けも違えばコンセプトも違うので食べ歩きするのが楽しみです。
東京と比べて大阪にはうどん屋が多いですが、ほとんどのうどん屋にかすうどんがあるので、東京から来た人はカルチャーショックでびっくりするでしょう。
下町のディープな店に一人で入るのはちょっと怖いかもしれませんが、たとえば「つるとんたん」のように東京にも出店している有名チェーン店もあります。
興味がある人はまず入りやすい店でいいので、かすうどんの魅力を知ってください。
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